【岐阜市のカメラ散歩】白と赤の彼岸花に誘われて──不動産会社スタッフが見た街の魅力
朝、雨が上がったばかりの空気は澄んでいて、どこか静けさをまとっていました。会社のスタッフ用駐車場からオフィスに向かうまでの片隅に、今年最後の彼岸花が咲いていました。赤と白。終わりかけの花びらに、雨粒がそっと乗って、まるで涙のように光っていました。
赤い彼岸花は、燃えるような情熱を感じさせる色。白い彼岸花は、静かな祈りのような気配を纏っていて、同じ花とは思えないほど印象が違います。どちらも、秋の訪れを告げるように、そっとそこに佇んでいました。
この一瞬の美しさに心を奪われ、私たち不動産会社のスタッフはカメラを手に取りました。業務の合間に、岐阜市の街を歩きながら、季節の移ろいや人々の暮らしを切り取る「カメラ散歩」が始まったのです。
白と赤──彼岸花が語る季節の物語
彼岸花は、秋の彼岸の頃に咲くことからその名がついたと言われています。岐阜市では、河川敷や田んぼのあぜ道、神社の境内など、さまざまな場所でその姿を見ることができます。
赤い彼岸花は、どこか妖艶で、見る人の心をざわつかせるような力があります。一方、白い彼岸花は数が少なく、見つけると少し得をしたような気持ちになります。その清らかな白は、まるで静寂そのもの。赤と白が並んで咲いていると、まるで陰と陽、動と静が共存しているような不思議な感覚に包まれます。
スタッフ用駐車場の一角に咲いていたその彼岸花も、今年の見納めでした。雨上がりの朝、光を受けて水滴がきらめき、花びらの縁が透けるように輝いていました。カメラのファインダー越しに見たその姿は、言葉では言い表せないほど美しく、儚く、そして力強かったのです。
街の中に咲く、静かな風景
岐阜市は、自然と人の暮らしが調和した街です。金華山の麓に広がる市街地には、古くからの町並みと現代的な建物が混在し、歩くだけで時間の流れを感じることができます。
ある日、物件の撮影で訪れた長良川沿いの遊歩道で、ふと足を止めると、川の向こうに白い彼岸花が群生しているのが見えました。遠くから見ると、まるで白い霧が地面に降りてきたような幻想的な光景。近づいてみると、一本一本がしっかりと根を張り、風に揺れていました。
街の中に、こんな静かな風景があることに驚きながら、私たちはシャッターを切りました。不動産の仕事は、建物や土地を見ることが中心ですが、そこにある「空気」や「時間」もまた、街の魅力を語る大切な要素なのだと気づかされます。
人と花と街の記憶
彼岸花には「悲しみ」や「別れ」といったイメージがつきまといますが、岐阜市で出会う彼岸花は、どこか優しく、穏やかな印象を与えてくれます。それは、街の人々の暮らしと寄り添っているからかもしれません。
ある日、地元のご年配の方が「この辺りは昔、田んぼだったんですよ。彼岸花はその頃からずっと咲いてる」と教えてくれました。その言葉に、花が持つ記憶の深さを感じました。人が暮らし、季節が巡り、時代が変わっても、彼岸花は変わらずそこに咲き続けているのです。
白い彼岸花は、特に「記憶の花」のように感じます。静かに咲いて、静かに散っていく。その姿は、街の中にある小さな物語をそっと語りかけてくるようです。
カメラが捉える岐阜の魅力
私たちスタッフが撮る写真は、プロのような技術があるわけではありません。ただ、街を歩き、目に留まったものを素直に切り取るだけ。でも、その中には、岐阜市の未来へのヒントがあるように感じます。
空き家だった古民家が、若い世代によってリノベーションされ、カフェとして生まれ変わる。かつて賑わっていた商店街が、イベントやマルシェによって再び人が集まる場所になる。そんな変化の兆しを、写真を通して記録していくことが、私たちの小さな使命なのかもしれません。
彼岸花のように、静かに、でも確かに咲いている街の魅力を、これからも見つけていきたいと思います。
最後に──白と赤の余韻
赤い彼岸花は、情熱と生命の象徴。白い彼岸花は、静寂と祈りの象徴。その両方が、岐阜市の街の中に自然に溶け込んでいることに、私たちは深い感動を覚えました。
雨上がりの朝、駐車場の片隅で見つけたその花は、私たちに「美しさはすぐそばにある」と教えてくれました。忙しい日々の中でも、少し立ち止まって周囲を見渡すことで、岐阜市の魅力は何倍にも広がっていきます。
これからも、スタッフ一人ひとりが感じた「岐阜の今」を、写真とともに発信していきたいと思います。街を歩き、季節を感じ、人と出会い、そしてまた新しい風景に出会う。その繰り返しが、私たちの「カメラ散歩」の原点です。
