
2026年地価調査から見る岐阜市の不動産市場
上昇基調は維持するも実態は「ほぼ横ばい」。進む地域間格差を読み解く
2026年9月に公表された令和8年都道府県地価調査では、岐阜県全体の地価が住宅地・商業地・工業地ともに上昇し、回復基調が継続していることが確認されました。県全体では住宅地が前年比約0.9%、商業地が約3.2%、工業地が約4.5%の上昇となり、一見すると堅調な不動産市場を印象付ける結果となっています。
しかし、県都である岐阜市に焦点を当てて詳細を見ると、市場の実態は少し異なります。

結論から言えば、
「2026年の地価調査では岐阜市の地価は上昇基調を維持したものの、上昇幅は限定的で、実態としては『ほぼ横ばい』と評価できます。岐阜駅周辺や西岐阜エリアなど人気地区への需要集中が進む一方、郊外部では弱含みの地点も見られ、地域間格差がさらに広がっています。」
というのが最も正確な表現ではないでしょうか。
今回は地価調査の結果をもとに、岐阜市の不動産市場と賃貸市場の現状について考えてみます。
地価上昇と聞いても「どこでも上がっている」わけではない
地価調査のニュースを見ると、
「岐阜市の地価が上昇」 「岐阜県の地価が回復」
という見出しが並びます。
しかし実際の不動産市場では、上昇しているエリアとそうではないエリアがはっきり分かれています。
例えば、
- ・JR岐阜駅周辺
- ・名鉄岐阜駅周辺
- ・加納地区
- ・市橋地区
- ・今嶺地区
- ・西岐阜駅周辺
などは住宅需要が安定しており、地価も比較的堅調に推移しています。

その一方で、
- ・市北部の一部地域
- ・高齢化が進む住宅団地
- ・公共交通へのアクセスが弱い地域
では下落地点も確認されています。
つまり、「岐阜市の地価上昇」といっても、市内全域が同じように値上がりしているわけではありません。
むしろ近年は立地による格差が拡大していると言えるでしょう。
岐阜駅周辺への需要集中が続く
今回の調査でも最も存在感を示したのはJR岐阜駅周辺です。
県内最高価格地点となった商業地は、JR岐阜駅前の吉野町5丁目で、1㎡あたり71万円となりました。県内で最も評価が高い立地であり続けています。

駅周辺が支持される理由は明確です。
- ・名古屋への通勤利便性
- ・商業施設の充実
- ・医療機関の集積
- ・飲食店の豊富さ
- ・公共交通の利便性
これらの要素がそろうことで、単身者からファミリー、高齢者まで幅広い層から支持を集めています。

特に最近は名古屋市内のマンション価格上昇により、
「名古屋は高すぎる」 「岐阜なら広い部屋に住める」
という理由で岐阜市を選ぶ世帯も増えています。
その結果、岐阜駅周辺の住宅需要は引き続き堅調であり、地価も安定した動きを見せています。
西岐阜エリアが評価される理由
近年、賃貸市場でも存在感を高めているのが西岐阜エリアです。

西岐阜駅周辺は、
- ・岐阜駅へのアクセスが良い
- ・駐車場付き物件が多い
- ・岐阜環状線へのアクセスが良い
- ・大型商業施設が充実している
という特徴があります。
岐阜市内で働く人だけでなく、大垣方面や羽島方面へ通勤する人からも人気が高まっています。
また、新築アパートや分譲マンションの供給も継続しており、住宅需要の強さが確認できます。
地価の急騰こそありませんが、市場関係者の間では「安定した人気エリア」として認識されています。
今嶺・市橋エリアの底堅さ
今回の調査では、今嶺地区の住宅地で約2.5%の上昇が見られました。
今嶺や市橋が人気を維持している理由は、日常生活の利便性にあります。
- ・スーパーが近い
- ・医療機関が多い
- ・学校へのアクセスが良い
- ・岐阜駅にも比較的近い
特別目立つエリアではありませんが、「住みやすい街」として評価されているのです。

賃貸市場でも退去後の入居決定が比較的早く、ファミリー向け物件への需要は安定しています。
地価が大きく上昇するわけではないものの、下落しにくい地域という点で注目すべきエリアと言えるでしょう。
郊外部では依然として厳しい状況も
一方で、市内全域が好調というわけではありません。
人口減少や高齢化の影響を受けやすい郊外部では、住宅需要の減少が続いています。
特に、
- ・駅から遠い
- ・商業施設が少ない
- ・バス利用が中心
- ・高齢化率が高い
といった地域では、依然として厳しい状況が続いています。

不動産市場は今後さらに「エリア選別」の時代になるでしょう。
以前は市内であればどこでも一定の需要が期待できましたが、現在は立地によって明暗が明確に分かれるようになっています。
賃貸市場はどうなるのか
賃貸仲介の現場から見ても、今回の地価調査結果は現実の市場感覚とほぼ一致しています。
実際に反響が多いのは、
- ・駅徒歩圏
- ・スーパー近接
- ・駐車場2台確保
- ・ネット無料
- ・宅配ボックス設置
といった条件を満たす物件です。

一方で、
- ・築30年以上
- ・設備更新なし
- ・駅から遠い
物件は空室期間が長期化するケースもあります。

地価がほぼ横ばいで推移している背景には、こうした需要の二極化があります。
・人気物件はすぐ決まる。
・そうでない物件は長く空く。
この傾向は今後さらに強くなる可能性があります。
オーナーが注目すべきポイント
今回の地価調査からオーナーが学ぶべきことはシンプルです。
「地価を見るのではなく、需要を見る」
ということです。
地価が上昇していても入居需要が弱ければ収益は上がりません。
逆に、地価上昇が小さくても入居需要が安定していれば良い賃貸経営は可能です。
今後の競争力向上には、
- ・インターネット無料
- ・宅配ボックス
- ・防犯カメラ
- ・エアコン更新
- ・水回りリフォーム
などが重要になります。
建築費高騰により新築供給が減少する中、既存物件の差別化がこれまで以上に求められる時代になっています。

まとめ
2026年の都道府県地価調査を見ると、岐阜市の地価は確かに上昇基調を維持しています。とはいえ、上昇率は限定的であり、市場全体としては「ほぼ横ばい」と評価するのが実態に近いでしょう。
その中で強さを見せているのは、岐阜駅周辺、西岐阜エリア、今嶺・市橋エリアなど利便性の高い地域です。一方で郊外部では厳しさも残り、地域間格差は確実に広がっています。
これからの岐阜市不動産市場を一言で表すなら、
「上昇相場ではなく選別相場」
です。
不動産オーナーや投資家、賃貸経営者にとっては、岐阜市全体を見るのではなく、「どのエリアに需要が集まっているのか」を見極めることが、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう。


